ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎
仙台で金田首相の凱旋パレードが行われている、ちょうどその時、青柳雅春は、旧友の森田森吾に、何年かぶりで呼び出されていた。昔話をしたいわけでもないようで、森田の様子はどこかおかしい。訝る青柳に、森田は「おまえは、陥れられている。今も、その最中だ」「金田はパレード中に暗殺される」「逃げろ!オズワルドにされるぞ」と、鬼気迫る調子で訴えた。と、遠くで爆音がし、折しも現れた警官は、青柳に向かって拳銃を構えた―。精緻極まる伏線、忘れがたい会話、構築度の高い物語世界―、伊坂幸太郎のエッセンスを濃密にちりばめた、現時点での集大成。キャラクターの人間性を描くために過去の話を何度も挟み、あとでその伏線を回収するあたりは重力ピエロの構成に似てて、二つの視点から物語を描くのはオーデュボンの祈りの構成に似てるなーと思いました。(オーデュボンでは活かしきれてなかった感がありますが)
物語の見せ方も、アヒルと鴨ほど驚愕ではないですが、先に概要を見せてさらに未来を見せてから事件を見せているので、伏線が回収されていくのが非常にスマートで読んでいて気持ちがいいです。
過去作品の手法をうまく取り入れているという意味で、非常に伊坂氏らしい作品になってます。
ただ、ミステリー色はほとんどなく、黒幕が誰なのかも最後まで結局わからないのでご注意を。